唾液のチカラとは
唾液はあなたの健康に深く関わっています
唾液は口の中をうるおすだけでなく、口内の細菌の増殖を抑え、口臭、虫歯、歯周病など
さまざまなトラブルから私たちを守っています。
唾液は、99%以上が水分、残りの1%ほどに抗菌、免疫、消化などに関わる重要な成分を
含みます。
こんなにスゴイ! 唾液のパワー
- 自浄作用
- 歯や歯間に付着した食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流す。
- 抗菌作用
- 抗菌作用をもつ成分が口の中の細菌の増殖を抑える。
- pH緩衝作用
- 飲食により酸性に傾いた口内のpHを中和させ虫歯を防ぐ。
- 再石灰化作用
- 飲食により溶けかかった歯の表面を修復し虫歯を防ぐ。
- 消化作用
- 酵素アミラーゼがデンプンを分解し消化しやすくする。
- 粘膜保護・潤滑作用
- 粘性のあるムチンが粘膜を保護し、発声をスムーズにする。
- 溶解・凝集作用
- 味を感じさせ、噛み砕いたり飲み込んだりしやすい塊にする。
- 粘膜修復作用
- 上皮成長因子と神経成長因子が傷を治す。
人の全唾液中の抗菌ファクター
参考文献:Reprinted with permission of the Department of Cariology, Institute od Dentistry, University of Turku, Finland:
“Salivary Peroxidase systems and Lysozyme in defence against cariogenic microorganisms.” (Lenander-Lumikari, 1992)
唾液腺と唾液分泌
唾液は耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)の3つの大唾液腺と、舌や口蓋(こうがい)などの粘膜面に多数存在する小唾液腺から分泌されます。
通常、健康な成人は、1日あたり平均1.0~1.5L(大きなペットボトル1本くらい)もの唾液を分泌しています。
参考文献:C.Dawes and B.Y.Ong : Archs oral Biol.Vol.18, pp.1145-1153,1973.(改変)
唾液の分泌は、一般的に夜になると減少します。このとき、唾液の作用とその機能も低下するため、口内の細菌は増殖します。そのため、夜寝る前と朝起きてすぐのケアは特に重要なのです。
唾液の分泌が減少すると、口臭、口内の乾きや
ネバネバ感などの
不快感が続き、
さまざまなトラブルを引き起こします。
唾液の分泌量が減ると、口の中が乾燥し、食べ物が飲み込みづらくなる、口の中がネバネバする、
口臭がきつくなる、話しにくくなるなどの不快感が慢性的に続くことがあります。
唾液の分泌不足によって、唾液が本来果たしている自浄作用が働かず、口臭、舌痛、口内痛の原因になったり、
カンジダ菌による口内炎、虫歯や歯周病などにかかりやすくなる場合もあります。
どうして唾液が減るの?
以下の要因が、唾液の分泌量の減少を引き起こすと考えられています。
- ■加齢
- ■薬の副作用
- ■ストレス
- ■口呼吸
- ■糖尿病
- ■放射線治療
- ■透析
- ■寝たきり
- ■不規則な生活
- ■喫煙
- ■シェーグレン症候群
- ■口腔乾燥症
ドライマウスの分類
- [ 1 ]
唾液腺自体の機能障害によるもの -
- ■シェーグレン症候群
- ■放射線性口腔乾燥症
- ■加齢性口腔乾燥症
- ■GVHD
- ■サルコイドーシス
- ■AIDS
- ■悪性リンパ腫
- ■特発性口腔乾燥症
- [ 2 ]
神経性あるいは薬剤性のもの -
- ■神経性口腔乾燥症
恐怖、興奮、ストレス、抑うつなどの精神状態、脳炎、脳腫瘍、脳外傷などの中枢性病変、顔面神経上唾液核や顔面神経分枝の障害などの唾液分泌の神経系の障害などがある。
- ■薬剤性口腔乾燥症[薬剤による副作用]
- ■神経性口腔乾燥症
- [ 3 ]
全身疾患あるいは代謝性のもの -
- ■全身代謝性口腔乾燥症
熱性疾患、発汗過多、脱水症、下痢、尿崩症(にょうほうしょう)、糖尿病、甲状腺機能亢進症、心不全、腎機能不全、貧血、過度のアルコール飲用、過度の喫煙など
- ■蒸発性口腔乾燥症
口呼吸、過呼吸、開口など
- ■全身代謝性口腔乾燥症
参考:口腔乾燥症(ドライマウス)の分類―日本口腔粘膜学会雑誌. 14; 2(2008年12月): 86-88.
薬剤による副作用
700種類以上の薬が唾液を
減少させる可能性があります。
参考文献:Sreebny LM, et al. Xerostomia. Part Ⅱ: Relationship to non-oral symptoms, drugs and diseases. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 1989; 68: 419-427.